葵わかな
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アイドル食堂・第4回 石松餃子

 アイドルだってメシを食う。その足跡を追いかけ、同じ物を食べれば、心だって通い合う。というわけで、連載第4回は浜松篇その2をお送りしよう。

【写真】葵わかな&堀ちえみ「令和と昭和のアイドル」がともに絶賛する浜松餃子の発祥店

 浜松出張に乗じた食べ歩きは、珍しく引いた風邪のおかげで不発気味だったが、無難と思って入った店が、けっこうアイドルが贔屓していると後で知った。定番も侮れないものだ。

 浜松といえば餃子。市内には約80店の専門店が軒を連ね、餃子を取り扱う店も300店以上。浜松には餃子学会まであるので、そのサイトを参照すれば、浜松では「全国に先駆けて大正時代より焼き餃子が食べられていた」のだそう。

 そもそも戦前までは全国的に「鍋貼(コーテイ)」、すなわち焼き餃子はそこまでメジャーではなかった。水餃子や蒸し餃子を出す店が辛うじてあったぐらい。それが戦後、満州からの引揚者が各地で店を出し、急にポピュラーになったのだ。

 しかし、戦前から浜松市には多くの中国人がいて、彼らが営んだ中国料理店で当時から焼き餃子を出していた。その味はそこに勤めていた人らが継承し、今に残されていると学会は自負する。

 餡には当時から現在と同じく、キャベツを多く使っていたとか。そう、白菜やニラより浜松市内や隣の愛知県で豊富に作られていたキャベツをふんだんに使うことに、浜松餃子の特徴がある。また、浜松は玉ねぎの産地でもあり、昨今はサラダオニオンの名で知られる。店によってはそれも使い、あっさりしていてほんのり甘く、いくらでも食べられる餃子になっている。だから、女性も好むのだ。

 戦後すぐだと、餃子は主に屋台で販売された。誰も店を構える余裕はなく、浜松駅周辺には一大屋台村があった。慢性的な物資不足で、餃子を焼くにもフライパンを使うしかない。そこで一度に多くの餃子を焼くために考え出されたのが、円形に並べる、浜松餃子固有の焼き方だった。それくらいの量は一人でも平らげられる、あっさり餃子なのだ。

 浜松人は元来、外食よりもお持ち帰りを好んだので、屋台は大いに流行り、やがて店舗となっていった。その筆頭が今回ご紹介する「石松餃子」。1953年創業で、浜松駅構内にも店があり、通信販売もしている。円形に焼いたために真ん中に出来る穴を埋めるのに、「刺身にはツマが付いているのだから、餃子にも何かあってよい」と、口直しの茹でもやしを入れたのも、石松の創業者だという。

 この石松餃子を「人生で一番おいしかった」食事に挙げるのが女優の葵わかなだ。『人生最高レストラン』(TBS)の昨年7月28日の放送回でのこと。映画の撮影の帰りに一度寄ったきりで、名前もわからない」というのを、スタッフが発掘した。番組の内容のほとんどが、NHKの連続テレビ小説『わろてんか』の撮影で10カ月も滞在した、大阪の食談義だったので、司会の徳井義実も「大阪ちゃうの?」と思わず突っ込むオチだった。

 葵は「餃子を見るたびにあの餃子を思い出してしまった」と語るほど、偶然食べた石松の味の虜に。VTRを見るうち、円形に盛られた餃子を見て絶叫。「一つずつはがして食べる感じ。皮が薄くてもっちりしてて、中の餡の存在感がすごい」と舌舐めずりした。

 葵は新東名高速「浜松・浜北」IC近くの本店に行ったようだが、ぼくは浜松駅店で久々に食べた。キャベツがしっとりマッシュしてある餡だが、所々粒が歯に当たる。その食感はやはり好ましい。少し甘めに仕上げた特製酢醤油は好みが分かれるところだが、多くの女性にツボだろう。

 実際、03年には「池袋餃子スタジアム」の女性投票でも、最高得票で「女性が選ぶ、人気餃子No.1」の座に輝いている。餃子の1個あたりの価格は60円と、浜松餃子の中では強気の値段設定。15個以上注文すれば、インスタ映え抜群の円型焼きで出てくる。葵が番組で紹介した翌日、楽天で石松餃子が完売する事態となったとか。

 ただ、薄皮だから量が食べられるが、ガッツリ男子にはちょっと物足りない。浜松は味噌ホルモンも名物。石松のメニューにもあるので一緒に取れば、ビールが確実にシフトアップで喉を駆け抜ける。餃子があっさりしすぎているので、ホルモンのくどさでバランスが取れるのだ。

 今年1月、この石松の餃子を食べに東京から駆けつけたのが堀ちえみ夫妻。「ここまで餃子を食べに来た甲斐があった!」とブログで絶賛している。曰く「想像していたよりも、上品な味わいです。餃子なのでもっと荒々しい味だと、勝手に思い込んでいたけれど。繊細な餃子でした」。

 初来店といい、2人でまず焼餃子15個を頼み、水餃子に醤油ラーメンを食べた後、さらに10個焼餃子を食べている。直後の2月に口腔がん、4月に食道がんの手術を受けたが、直前までは食欲も旺盛だったようだ。

 堀はぼくと同い年。デビュー時に幼なじみがハマり、高校入学前の春休み、デビュー曲の『潮風の少女』をいったい何度聞いたことか……。気になって最新のブログ記事(12月5日付)を見ると、朝から鰻丼を食っとるやないかい! その食欲なら心配もなさそうだ。

※価格は来店時。消費税改正後は変動している可能性があります。

(取材・文 鈴木隆祐)

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