青木裕子の画像
※画像は青木裕子のアルバム『Blue』より

連載企画『グラビアアイドル歌謡の世界』
第8回 青木裕子『Blue』(2002)

 平成という時代を水着姿で彩ってくれた、グラビアアイドルという存在。実は彼女たちの多くは、CDという形で名曲・駄曲・珍曲を残してくれている。ここではそんなグラビアアイドル歌謡を改めて聴きながら、彼女たちの思い出を語ってみたい。

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 1990年代半ばのグラビアアイドル黎明期、そのトップランナーは間違いなく青木裕子だった。

 クールフェイスに美爆乳という圧倒的存在感で、瞬く間にグラビア各誌を席巻し、1996年のフジテレビビジュアルクイーンの座を獲得。その年に発売された写真集『どうしようもないくらい好き』は、どうしようもないくらい売れまくった。

 同時期に黒田美礼という色黒巨乳アイドルも活躍していたので、名前のイメージから青木裕子=キカイダー、黒田美礼=ハカイダーと勝手に見立てて、そのライバル関係を楽しんだりしたものだった。

 当時のグラビアアイドルは、テレビに出る機会がほとんどなかったため、動く姿どころか声すらも知らなかった。ただただグラビアの水着写真を眺めながら、日本中の男子が「青木裕子」という幻想を膨らませていた。

 しかし、グラビアアイドルとしての彼女の活動期間は短かった。1998年頃になるとグラビアから姿を消し、2000年にはグラビア卒業を宣言してしまう。実はその裏で、小室哲哉プロデュースによる歌手デビュー計画が進行していたのだ。

 華原朋美に顔が似ているため、小室プロデュースでデビューしていたら大いに話題になったことだろう。でもデビューはなかなか決まらず、次第に彼女は忘れられていった。この時期は、素性がばれないようにして繁華街でギターを弾きながら歌っていたりしたらしい。

 そして2002年。デビューアルバム『Blue』が唐突に発売される。結論から言うと、これが名盤だった。作詞は安全地帯や工藤静香で知られる松井五郎、作曲は柴咲コウの曲などを多く手掛けた中村仁。この豪華コンビの楽曲に、彼女の歌声は全く負けていなかった。

 ちょうど時代的には小室サウンドが廃れ、宇多田ヒカルやMISIAなど、いわゆるR&B系ディーバが流行ったころだったけれど、その潮流から一線を引いた、退廃的なムードの漂うロックサウンド。曲調も歌い方もバリエーションに富み、ウィスパーボイスで歌うアコースティックな4曲目『造花のLily』や7曲目『化石』、巻き舌気味に歌う気だるいやさぐれロックの9曲目『路上ヘブン』など、印象的な曲が並ぶ。

 特に6曲目の『飴と鞭』などは、ギターの音色も青木裕子の声も、G-Schmitt(ゲー・シュミット)のような1980年代のニューウェイヴ・サウンドに聴こえて、個人的にお気に入りだ。

 CDに添付されたDVDには、ミュージックビデオや撮影シーン、彼女のインタビューが収録されていて、そこで彼女はこう語っている。

「(グラビアアイドル時代を振り返ると)やりたいこととのギャップが自分の中で正直あった。胸がコンプレックスで、コンプレックスをさらけ出してやる仕事だったので、正直ちょっと辛いなあと思ったんですけど、でも今思えば、いい経験をしたというか、ひとまわり大きくなったというか」

 キカイダーが善と悪の狭間で苦悩したように、青木裕子も肉体と内面の狭間で苦悩を続けていたのだろう。ミュージシャンとしての可能性が開かれたようにも見えたけれど、本作が彼女の最初にして最後のCDとなった。

 その後はプロレスイベント「ハッスル」で解説を務め、卒業したはずの水着を再び披露することを匂わせるなど、明らかに本意ではないであろう活動をしばらく続けていた。世間は結局、彼女に歌よりも水着グラビアを期待し続けていたのだ。

 現在は故郷の山形に帰り、子育てをしながら働いているという。彼女が残したグラビアと歌は、いまも平成の美しい記憶として残り続けている。

(文・真実一郎 https://twitter.com/shinjitsuichiro

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