太田 僕も、アイドルのことをめちゃくちゃ考えると、最後は、「秋元さんっていうのは何なの?」というのが、自分のなかで延々繰り返されるんですよ。
中森 秋元さんには「振り子理論」というのがありますよね。だいたい、AKBがあれだけ成功していたら、普通はライバルグループを作らないですよ。それを公式ライバルとして乃木坂を始める。乃木坂が売れたら、今度は対局の欅坂をやるという。常に振り子なんですよね。
太田 そうなんですよね。
■NGT48脱退時に、山口真帆が『黒い羊』を選んだ理由
中森 山口真帆が、あんな事件があって辞めるってなった時に、結局、秋元康の曲を選ぶことになると。あれは平成末から令和の始まりにかけての、指原莉乃の卒業と同時期なんですよ。それが結構象徴的な出来事ですよね。
非常に痛ましい事件で、アイドル史的にはネガティブな問題じゃないですか。それは、決して望ましい、喜ばしいことではないですけど、それをきっかけに、ああいうパフォーマンスをやってみせたっていうのは、“これも秋元康が作ったものかもしれない”と思いましたね。
太田 秋元さんというのは、昭和のアイドルの起源の頃から、その世界にいた。さらに、おニャン子で昭和を終わらせたっていうこともあって、普通はそこで終わると思うんですよ、どう考えても。それが2000年代になって、AKBという形で復活している。本当に凄いですよね。
中森 秋元さんは、昭和の終わりにおニャン子と美空ひばりを手掛けていたじゃないですか。美空ひばりというのは、戦後の歌謡界が作り上げた頂点ですよね。おニャン子は誰でもなれるという意味で、いわば底辺ですよ。その両方で昭和を締めくくってみせたとうことですよね。それが令和になってからは、坂道であり、そしてAI美空ひばりをやっているというね。
太田 常に両極をやられているということですよね。昭和と平成は違う時代だと思うんですけど、それを対比させつつ、いろんなバリエーションでやったと。ただ、それを意図してやったら上手くいかない面もあったような気が、個人的にはしますけどね。
(取材・文=ミゾロギ・ダイスケ)
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