──アイドルはどう完結するかというのが難しいですね。
中森 それで思ったのは、僕が名前をもらった中森明菜という人は、先行するモデルとして山口百恵の物語が相当強く働いている。同じ『スター誕生!』からデビューした。1曲名がそれほど売れなくて、『ひと夏の経験』とか『少女A』とか背伸びソングを歌ったことで人気が出た。
ただし、百恵ちゃんは三浦友和と結婚して引退したけど、明菜ちゃんは近藤真彦と結婚できなかった。それで、自殺未遂事件を起こすと。やっぱり着地点を失った感覚ですよね。ジャニーズだったら結婚しているメンバーがいっぱいますが、女性アイドルというのはそこが難しい。
近年は、でんぱ組.incの古川未鈴とか、NegiccoのNao☆とか、少し出てきましたけどね。でもやっぱり、特にグループアイドルで結婚してからも活動を続けるというのはなかなかできないですよね。
太田 女性アイドルというのは、いまだ恋愛禁止というのが続いているというのがあるし、さっきの恋愛ソングのときも話しましたが、ジェンダーギャップみたいのはありますよね。そこはやはり男女のファンの気質の違いのようなものも大きいような気がしますね。ファンの求めるものを考えた時に、女性アイドルのほうが生き方を制約されるというかね。
中森 反面、女性アイドルが生き残るのは、女性の人気を勝ち取らないといけないというのがありますね。ずっと恋愛対象でいては勝ち残れない。
中森 今日の白石麻衣なんかもそうですね。
太田 その点で、乃木坂なんかも、まさに好循環のサイクルが生まれているといえますね。
*1 稲増龍夫
社会学者・心理学者。法政大学社会学部教授。学術的な現代芸能風俗研究の開拓者にして第一人者として位置づけられる。『アイドル工学』は、89年当時、大学助教授(当時)が書いたアイドル論として大きな話題になった。
(取材・文=ミゾロギ・ダイスケ)
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