──いまは短期間で辞めてしまうアイドルも多いですよね。
中森 それで、太田先生がおっしゃった、リアルな剥き出しなものを、昭和だったらありえない厳しい局面を、アイドルになることによって背負わされてしまっていた。ところが、それが一通り出尽くしたというか、当たり前の前提として認識されるようになった。
そんな状況のなかから、指原莉乃のように、炎上からサバイブしていくようなアイドルが出て来る。過渡期である平成の絶望が出揃って、その先に肯定するものがあるんだ、そういうことですよね?
太田 そうですね。だから、指原みたいに1人でサバイブしていくような形で、何だかよくわからないツラい時代を生き抜いていくみたいなのはありますね。それから、最初の方の回で話題に出ましたが、宮崎あおいの作品なんかは、そういったものとして捉えているというのがあるんです。『害虫』(01年)という作品なんかもそうです。
中森 僕は塩田明彦監督の『害虫』は大傑作だと思いますよ。
太田 素晴らしい作品ですよね。あくまで映画というフィクションのなかですが……宮崎あおいが演じる少女は何を考えているかよく分からないのだけども、やっていることがどんどん悲劇になっていく。僕らはそこで受け取って、「これはいまだよな」と思う訳ですよ。
中森 リアリティを感じますよね。
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