
連載企画『グラビアアイドル歌謡の世界』
第16回 佐々木希『パペピプ♪パピペプ♪パペピプポ♪』(2011)
佐々木希という存在は、グラビアアイドルというにはモデル的美しさが際立ち過ぎ、モデルというにはグラビア適性がありすぎた。あれはもう佐々木希という名前の奇跡だとしか言いようがない。
2008年に、佐々木希、リア・ディゾン、杉本有美が一緒にヤングジャンプの表紙を水着で飾ったとき、3人が自分を救いに来てくれたアベンジャーズに見えた、とグラビアアイドルの吉田早希は語っている。佐々木希は女子にグラビアの魅力を広めたリアル・マーベルヒロインだった。
そんな彼女は、歌手としても3曲のシングルを過去に発表している。その中でオリコンランキングが群を抜いて低かった3曲目にしてラストシングルが、一度聴いたら二度と忘れられなくなる、群を抜いた名曲だったということはあまり知られていない。
2011年に発売された、『パペピプ♪パピペプ♪パペピプポ♪』。タイトルを見ただけで、もう分かるだろう。意味より強度だという宮台真司イズムに貫かれたこの曲は、歌詞から意味性を徹底的に取り除き、響きの楽しさだけでストロング缶より酔わせてくれる、禁断の呪文のようなエレポップだ。
これを佐々木希が感情を一切こめずに平熱で歌う。考えてみたら、我々は佐々木希がむき出しの感情を露わにしたところを見たことがない。出世作ともいえるロッテのガム『Fit’s』のCMでも、彼女のダンスは淡々と無機質だった。歌詞が記号化されたエレポップと無感情な彼女のボーカルが出会い、奇跡の名曲が生まれてしまったのだ。
同年にデビューしたきゃりーぱみゅぱみゅの楽曲群に全く引けを取らない不条理バブルガム・ポップ。この路線で歌手活動を続けてアルバムを作っていたら、きゃりーと対バンで世界ツアーも出来たのでは?と思わせる。
どんなに辛いことがあっても、パぺピプパピプぺパぺピプポという呪文を唱えたら、小さいことだなと笑って許せてしまうところがある。今も彼女は、ひょっとしたらこの呪文を唱えているのかもしれない。
(文・真実一郎 https://twitter.com/shinjitsuichiro)
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