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大場美奈の新連載スタート!
SKE48卒業後の日々を綴る『だってアイドルだったから』

  • 2023年04月18日 12時00分 公開
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「今月の一枚」 先日4月3日が誕生日だったので、バースデーイベントを開催。ファンのみなさんと楽しい時間を過ごしました

30歳で世に放たれたら知らないことがたくさんあった。
大場美奈の言い訳連載『だってアイドルだったから』。

17歳でAKB489期生オーディションに合格してから30歳までアイドル人生をまっとうした大場美奈。卒業してみたら毎日が知らないことで溢れていた! アイドルに没頭しすぎたからか、はたまた生活力の問題か? 大場美奈の発見を綴るコラム。

 

 

第1回 私が"世間知らず"というやつなわけ

 

アイドルだったから許されると思ってた。

17歳でアイドルという夢の世界に入り、30歳までわりと夢のまま生きてきた。

そんな私は世の中でいう“世間知らず”というやつだ。
すべてのことに「経験がないから知らない」という言い訳を使ってきた。

アイドルになってから、デパートの営業時間内に買い物に行くことは難しい。
市役所や郵便局、不動産屋さんはもちろん、一時期は病院に行くことさえ難しい時期があった。
……正直に言うと、本気を出せば行けないこともなかった。
具合が悪いと言えば病院に行けたし、手続きがあるなら理由を伝えて予定を変更してもらうこともできたのだから。

私は世代で言ったら“ゆとり”だ。
ゆとりという言葉のせいかのんびりしてそうに見られるが、まだ厳しさも少しは残っていたと思う。
それ故に私情でスケジュールを変えることが自分にプラスに働かないことだとは認識していた。
入れ替えや競争の激しい国民的アイドルグループで揉まれて育ったからなのだろうか。
学生生活でも、部活動とかと似ているんじゃないかと思う。
代わりはいくらでもいて、立ち止まったら終わりかのような感覚になる。
でも悪いことばかりではなく、大人になればなるほどゆとり世代でよかったと思う。
厳しさの名残りを経験することで精神面がある程度鍛えられた。
そこは歳を重ねるたびに役に立っていると実感する。

ここまで書き進めてきたが、そもそもテーマから外れている気がするのだがどうなのだろうか。こういう時って大体前置きあるよね?

さて本題に入ろう。

「経験をしていない、だから知らない」
アイドル時代の大場美奈はこれを最大の言い訳として13年間生きていた。

それが2022年春に卒業して、30歳の女性として突然ぽんっと世に放たれたのだ。

そんな私はまずゆっくりしっかり休んだ。

毎日全力で仕事に没頭してきたため、何もない日という環境を何も考えずに楽しみたかったから。
実家に帰り、家族と愛犬とダラダラのんびり過ごした。
友達に会うわけでもないので毎日パジャマで食事と睡眠だけを満喫した。
これを1週間くらいしてみた。

家族旅行の際に撮った写真です

そして次は友達と会う約束をした。
予定を立てて会うなんて13年ぶりだ。
さすがに嘘だと誰もが思うだろう、でもこれが本当のことなのだ。
アイドルって本当に大変な職業なのだ。
ここで信じないのならばそれは仕方がない。
信じる人に向けて書くまでだ。

まず友達と日にちを決め、何をするか決めるという作業に感激した。
そうする段取りだけでもとにかく楽しい。
「お昼に韓国料理を食べて、カフェに行こう」
内容とお店を決めると勝手に脳内でその日の想像をする。
もはや行かなくったって最高に楽しい。
あの話もしよう、この話もしよう、
私の脳内では相手の返事も込みで
まだ現実で起きていない会話が成立している。
これを妄想というのか、シミュレーションというのか、
なんにしたって事前の心と脳内の準備が完璧なのだ。
そして、当日はこの想像より遥かに楽しい。
私の脳内で繰り広げられる架空の会話よりも
生の友達との会話はさらに弾む。

この勢いで今まで疎遠だった地元の友達にも会えた。
最長で10年ぶりに会った中学の友達がいた。
でも10年も空いてしまうと、さすがに不安も生まれる。
職業が特殊な故、ネガティブなことを赤裸々に言うのも違うし、
かといってポジティブなことなら
なんでもペラペラ話していいかといえば
きっと違う。

こういう時にいつも思うが、
友達とは大体仕事やプライベート(恋愛)の話をするだろうが、
私の職業はなかなか本音を漏らせない。
キラキラ眩しい世界のイメージを壊さないために。

そうなると、同業者じゃない友達に会うと、
プライベート(恋愛)とは無縁だった私は
話す内容がなにもなくなるのだ。
これにより私は長らくメンバーしか友達がいなかった。
まぁ今もほとんどそうだが、
卒業したことにより肩の荷が下りたのか
地元の友達の話を聞いて楽しめる心の余裕ができた。

今までだったら
旅行に行った、彼氏がいる、結婚した、子どもがいる……
これら友達たちの話を聞くと
羨ましさからなのか、
もどかしさで帰りに心底落ち込んだ。
「私は一体なにをしているのか」と。

だが卒業した私は
旅行に行った話を聞けば、どこ? と聞き私も行ける。
彼氏がいる話を聞けば、出会いから聞いてニヤつく。
結婚した話を聞けば、素敵な部分と大変な部分を教えてもらう。
子どもがいる話を聞けば、写真を見せてもらってどっち似か当てる。
これを永遠に楽しめるのだ。

現役の時でもそれはできただろと思うだろうが、
26歳くらいから“アイドルを極める”=“ビジネスアイドル”をしていた私は
現実から距離を置くことで、
没頭してアイドルを心の底から楽しめていた。

あえて自分から“世間知らず”になっていたのかもしれない。
羨ましさからの感情に引っ張られていたら
アイドルとしては中途半端だったんじゃないかと思う。

そこから発展して念願の旅行に行けるようになった。
これはマジで進歩。
旅行に行けるなんて夢のまた夢だと思っていた。

今まで全国各地には仕事で行っていたが、観光を一切していないので
観光地をしっかり楽しみながら旅行というものを満喫した。

バズってる温泉宿を探して行くという、
なんてフリーダムな予定の立て方だろう。
あらかじめ大まかな仕事のスケジュールがわかるようになり、
日程を気にしすぎることもなければ
時間も、場所も気にせず、行きたいところに行けた。

きっと“自由に選択できる”ということに
終始喜びを感じていたのだ。

その自由は食生活にも現れたらしい。
今までは毎回同じアイドル衣装を着るべく
暴飲暴食は避けていた。
グラビアや卒業コンサートの時は調整することも。

だがもうアイドル衣装を着ることはなく、
基本は私服風のものが衣装となることで、
ウエストや脚を気にしなくてよくなった。

気にする箇所が減り、
さらには人との交流、観光地での名物との出会いにより
必然と今まで出会ったことのない美味しい食べ物たちと出会った。

大好きな人たちと美味しいものを食べることに
2022年は時間を費やしたといっても過言ではない。

だが、その時間に酔いしれていると
次第に写真に写る顔が丸くなっていくことに……。
今まで普通に着ていた洋服が
キツくなり、入らなくなることもあった。

なによりも衝撃的なのは、
ウエストがゴムのスカートを脱ぐ時に骨盤に引っかかってしまい、
無理矢理スカートを下ろしたら、なんとそのゴムがはじけてしまったのだ。

人生で初めてウエストゴムのスカートを
ぶっ壊した。

無限の可能性しかないウエストゴムを
破壊してしまうというのはそれはもう正真正銘、よほどのデブだ。

さすがの私もこの出来事は一生忘れない。
めちゃくちゃあわてた。
ということで2023年からダイエットを決意した。

この破壊案件は2022年の冬のこと。
普通なら翌日から行動してもよいのだが、
ここですぐに実行しないのが私、大場美奈である。

なんでも区切りよく始めたい性格も相まって、タイミングを探っていたのだ。

冬まで太ったのなら
このまま2022年は美味しいものを食べよう!
だって2023年にダイエットをするんだから我慢しなくてはいけない。
ならば今のうちに食べ貯めしておこう!
そう考えて生きている。

結果、年始に体重計に乗った私は
人生過去最大の体重を叩き出したのであった……自業自得。

世間を知った私は、自由とひきかえに確かな重みを手にした。

2023年、私は元の体重に戻せるのか、
乞うご期待。

 

(プロフィール)
おおば みな
1992年4月3日生まれ、神奈川県出身。
2009年、9期生としてAKB48に加入。2014年、SKE48へ完全移籍。2022年5月にグループを卒業し、現在は女優・タレントとして活躍中。13年間のアイドル活動を自身の筆で赤裸々に書き下ろした『大場美奈フォトエッセイ 器用じゃないけど。』が絶賛発売中。

 

EXweb編集部

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EXweb編集部

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